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入居者の声

A様エッセイ

私はここで「パストーネ」をみつけた

それは昨年11月5日のことだった。5日間の旅行から帰り、冷蔵庫の中の食料品を補給するため、自転車で片道25分位の所にあるスーパーに買い物に行った。すぐ近くにもスーパーはあるがお目当てのお菓子はそこのスーパーにしかないので、夕方の5時頃不安な気持ちもあったが行った。

自転車の前籠に2000mlのペットボトル2本入れ、ハンドルにスーパーの買物袋をさげて帰る途中ハンドルのバランスを失い歩道の植込みの中に突っ込み転倒し、右足のふくらはぎと脇腹のろっ骨3本、左手首の打撲という大ケガをした。入居して7ヶ月間に2度の自転車でのケガだった。1回目の時から自転車の事故が多いからやめたほうがいいいと云われてはいたが2回目のときは前回のことがあったので、内緒でしかも夕暮れでもあり隠密行動でのケガで自分の非を認め反省しながら就寝した。翌明け方から、足首からヒザの下のふくらはぎの所までむくみがあり、しかも熱もあるし思いきって午後5時頃健康相談室に行って白状した。足のむくみをみたスタッフの人はすぐに経営母体でもある病院に電話連絡し、即刻治療のために車で搬送されて2時間余りの検査と治療を終え帰館となった。当夜は居住者の友人との会食の約束もあったが、夜7時までの食事時間も過ぎており、送迎してくれたスタッフの人の連絡でダイニングも友人も待っていてくれた。

ケガの白状をしてからのスタッフの人達のスピーディな連携プレイの見事さには感謝している。

12月22日には例年の「第九」を歌うと云う予定があり、如何としてもそれに出演したい旨を治療して下さる主治医に伝えたところ、3ヶ月~6ヶ月かかると云われ意気消沈するも、杖をついてでも出たいと申し入れ、翌日から土、日曜にも電気治療と湿布リハビリなどの治療に専念した。

足にも脇腹にもギプスで固定しているため思うようにならない歩行困難な所もあり散々な日常生活だったが、先に見えてくる目的のための困難を乗りきった。入浴の際は脇腹は解くことが出来たが足のギプスはそのままで比較的人の入浴の少ない時間を見計ったが、大浴場のため必ず数人の同欲者と一緒になる。そんな時、肩を貸そうか、背中を流そうか、タオルをしぼろうかとか優しい言葉がとびかう。ひとつ屋根の下で暮す家族愛の様な温もりがうれしかった。自宅にいた時は振り込みサギの電話5回のうち、2回は督促状と再督促状を持って警察にも出向いたことがある。又夜中の家の外での物音や昼間のチャイムの呼び出し音にも気を使ったが、この館(やかた)に来てから一切解放され、一日を積極的な暮らしにきりかえることにした。この館の中では盛りだくさんのイベントがあり、クラシック音楽のコンサートや囲碁、映画鑑賞会(図書)自然観察会などなど、そのイベントの中に現役時代の同僚の人もボランティアとして懐メロの出前をしてくれている、なんとも心強い限りです。

リタイアして社会に出たとき、生きる厳しさを知ったとき、必要なのは浅はかな知識や世渡りのテクニックではない「覚悟」である。

何事もひとつひとつが生きる杖となる今日1日、そしてこの先ずっと「五木氏の人間の覚悟から」今日からの生きた教訓の美しい人生でありたいと願っている。人生の目的を成し遂げた今は、温く温く(ぬくぬく)と「翼」を休める倖せがここにある。人生のパストーネ、「老後を支えてくれるところ」をみつけることも出来た。

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